« 教師の覚悟 | トップページ | トヨタ生産方式 »

2015年7月27日 (月)

教育という病

「教育という病 子どもと先生を苦しめる「教育リスク」」内田 良:著(光文社新書)

 著者によるTwitterの書き込みに興味を持ち、大いに期待して読んでみました。

 組み体操の危険性や、部活動の問題など、学校において深く考えられず、これまでは「そういうことになっている」とされてきた事象について取り上げたことは、たいへん意義深いと思います。問題の所在を知るためには、貴重な仕事であったと言えるでしょう。

 しかし一方で、本書には、大きく2つの欠点があると感じました。

 一つは「エビデンス」という言葉の使い方。
 本書にはこの語が非常に多く出てきます。けれどもそれらは、私の感覚ではエビデンスになっていないものばかり。これは単なる統計資料でしょう。少なくとも研究者が参加するような学会で、この程度のデータを示すだけでOKっていうところは少ないだろうと思います。
 もう一つは、当事者に取材していないこと。
 教育社会学を標榜するなら、苅谷剛彦さんや志水宏吉さんのように、現場に取材しないといけないと思います。特に二分の一成人式に関しては、この実践をなぜ始めたのかくらいは、当事者にヒアリングすべきではないでしょうか。研究室でネットで調べて、フェイスブックのコメントをもって批判するというのは、およそ研究者のする態度ではないと思います。それに日本の中には、家庭的に問題の無い学級もそれなりにあるはずで、そこにおいてはよい実践であると言えるのですから。そこに言及しない批判は、まさに為にする批判と言われても仕方がないでしょう。
 とはいえ、現場に行かないからこそ提示できたというお考えかも知れません。
 いずれにせよ、これまで教育界においてある種タブー視されてきた「一体感」「苦労してこそ教育」といった意識にメスを入れた功績は小さくないでしょう。いろいろと考えさせられた一冊でした。

|

« 教師の覚悟 | トップページ | トヨタ生産方式 »

教育書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29188/62025564

この記事へのトラックバック一覧です: 教育という病:

« 教師の覚悟 | トップページ | トヨタ生産方式 »