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2016年6月15日 (水)

モンスターマザー

「モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い」福田ますみ:著(新潮社)

 いやはやなんとも後味の悪い本です。本書は、帯に「たった一人の母親が学校を崩壊させた」とある通り、長野県の高校を舞台として実際に起こった、まったく救いようのない事件(いじめ自殺とその後の訴訟合戦など)を扱ったノンフィクションです。

 「いじめ自殺事件」と聞くと、「またか」とお感じになる方もいることでしょう。しかし本書が明らかにしているのは、「そもそも自殺の原因はいじめだったのか」ということに尽きます。著者の丹念な取材により、これは学校でのいじめによる自殺ではなかったのではないかと理解できます。
 しかしなぜ、これが「事件」になってしまうのか。直接的な原因は書籍タイトルにもなっている、モンスターとも言うべき母親なのかもしれません。しかし、学校関係者にとっては、危機管理の事例書として読むべきと言えそうです。

 本書が明らかにしているのは、自殺のような極端な事案が発生したとき、学校は生徒に関してどの程度の関わりをして、どれほどの情報を把握しておくべきなのか、そしてその情報を元にどんな指導をしていくべきなのか、真剣に考えなければならない時代に突入したということです。それは「よりよい指導のために」といった生やさしいことではなく、学校経営の根本を支えるためにも必要になったと言うことです。

 これまでどちらかと言えば、高校は勉強だけを教えて、子供たちの家庭環境や親子関係については、あまり把握してこなかったのではないでしょうか。本書をよむにつけ、高校も、小学校とおなじくらいの学級経営、学校経営が要求される時代になったのだなと感じます。

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