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2016年7月 6日 (水)

kotoba(コトバ) 2016年 冬号

「kotoba(コトバ) 2016年 冬号」(集英社)

 半年も前に購入したのに、ようやく読めました。この雑誌の存在はまったく知らなかったものの、中上健次の表紙に惹かれたのです。一読して、こんなにすごい内容が、季刊とは言え雑誌で読めるということに感動しました。しかも、定価は税込みで1440円。安い。安すぎます。

 中上健次さんの特集は、期待を裏切らないすばらしいものでした。彼の娘である、中上紀による年譜に始まる特集は、町田康さん、いとうせいこうさん、都はるみさん、アラーキーさん、水谷豊さんなど、多士済々。どれもが非常に読ませる内容でした。
 特に目を引いたのは、早稲田大学の宗像さんが紹介している、中上健次「鰐の聖域」の生原稿。悪筆であろうことは想像していましたが、目を引いたのは文字の巧拙ではなく書きぶりでした。原稿用紙ではなく、横書き用の罫線用紙を縦に使い、そこに縦横びっしりと書かれているのです。「横」というのは、罫線枠一杯に文字が書かれているということ。
 宗像さんによれば、これは健次がマス目を拒否していたからとのこと。行間から伝わってくる迫力は、活字などにせず、このまま本にすれば良かったのではないかとすら思えてきます。
 他にも故郷である和歌山県との関わりや、彼が愛した新宿の路地などの記事も楽しく読めました。

 本書の魅力は、この特集だけに終わりません。およそ1.5cmほどの厚みのある本書の半分以上が、その他の記事で占められています。「kotoba」という本なのに、経済学や歴史学や科学、芸術や演劇の内容も含まれていて、それが非常にためになりました。各国が金融緩和にいそしんでいるのになぜインフレ傾向にならないのか、という説明は、これまで読んだどの説明よりも分かりやすく、説得力がありました。
 もっとも興味深かったのは、漢字の話。「中国では日本よりも漢字の意味を気にしない」という話が衝撃的でした。発音重視なのだとか。こういうのは、雑誌でないと得られない情報だなあと思いました。

 さきほどアマゾンで確認すると、定価よりも高額な値段が付いていました。そうだろうと思います。中上健次は人気がある上に、この号を買った人はなかなか手放さないでしょうから。そういう意味でも興味深い一冊でした。

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コメント

私も、NO21「地図を旅する」を買いました。たまたま仙台の書店で見つけました。自称「地図マニア」として、タイトルのパッと見で買いました。 なかなか今時の雑誌としては、私の年代には、読み応えありですね。でも、売れるかなあ。

投稿: 青柳 滋 | 2016年7月14日 (木) 09時24分

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