« どうぶつ友情辞典 | トップページ | 自閉症は津軽弁を話さない »

2017年8月 1日 (火)

サルまん 2.0

「サルまん 2.0~サルでも描けるまんが教室 2.0~」相原コージ/竹熊健太郎:著(小学館クリエイティブ)

 本書のタイトルにある「サルまん」というのは、バブルの真っ最中に『ビッグコミックスピリッツ』で連載され、大いに人気をさらった『サルでも描けるまんが教室』の略称です。ギャグ漫画という体裁は整えつつも、漫画界の裏側やタブーに敢然と挑戦し、人気を博しました。当時スピリッツを定期購読していた私は、この「サルまん」から読み始めることも多かった覚えがあります。
 その新バージョンが発売されたということで、発売と同時に購入して読んでみました。

 一読して驚いたのは、「サルまん 2.0」は、『IKKI』コミックで連載され、しかも著者二人の制作方針の違いから連載中止に追い込まれた企画だったということ。漫画界で、連載打ち切り自体はさほど珍しいことではないものの、その打ち切りまでの連載と、打ち切りの経緯などについて収録して単行本化する、という企画は、あまり聞いたことがありません。
 本書の帯には「検屍報告」となっているのは、なるほど言い得て妙だなあと思いました。「検死」ではなく「検屍」。つまり本書は、死因を探るのではなく、作者が殺してしまった作品(しかばね)自体を検証している本なのです。

 考えてみると、世の中の製品企画は、そのほとんどが失敗です。その失敗については、あまり検証されることがありません。あったとしても表に出ないのが普通です。
 にもかかわらず、本書では「漫画のプロ」であるお二人が、その失敗ときちんと向き合っています。この姿勢は、非常に参考になりました。

 本書は、2.0という性質上、最初の「サルまん」を知らないと、たぶんあまり楽しめないと思います。ただでさえ、爽やかとは言えない画風に、グロい科白、妙なキャラクターなど、嫌われる要素が満載ですから(笑)。しかし、よく読むと作者の熱い思いが伝わってきます。
 プロによる、正しい敗戦処理の仕方を見たような気がしました。

|

« どうぶつ友情辞典 | トップページ | 自閉症は津軽弁を話さない »

まんが」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29188/65608528

この記事へのトラックバック一覧です: サルまん 2.0:

« どうぶつ友情辞典 | トップページ | 自閉症は津軽弁を話さない »